**“普段使っているものを、災害時にもそのまま役立てる考え方”**です。
もともとは日本で生まれた防災の考え方で、
- 普段(平常時)
- 災害時(非常時)
この2つの“フェーズ(段階)”を分けない、という意味があります。

フェーズフリーとは?普段の暮らしを災害時にも役立てる防災の考え方
「フェーズフリー」という言葉を聞いたことはありますか。
フェーズフリーとは、普段の生活と災害時の生活を完全に分けて考えるのではなく、日常で使っているものや習慣を、非常時にもそのまま役立てようという考え方です。
防災というと、非常食、防災バッグ、懐中電灯、ヘルメットなどを特別に用意するイメージがあります。もちろん、それらの備えも大切です。
ただ、いざ災害が起きたときに「どこに置いたかわからない」「使い方を忘れた」「賞味期限が切れていた」となることもあります。
フェーズフリーは、そうした特別な備えだけに頼るのではなく、普段の暮らしの中に自然に防災を組み込む考え方です。
この記事でわかること
- フェーズフリーとは何か
- 普段の防災と何が違うのか
- 家庭で取り入れやすい具体例
- 防災グッズを選ぶときの考え方
- 家族で始めるための小さな工夫
フェーズフリーとは、日常と非常時を分けすぎない考え方
フェーズフリーの「フェーズ」とは、段階や局面という意味です。
ここでは、普段の生活である「日常時」と、災害が起きたときの「非常時」という2つの場面を指します。
フェーズフリーは、この2つを完全に分けるのではなく、普段から使っているものが非常時にも役立つように考えることです。
たとえば、普段から使っているモバイルバッテリーは、外出先でスマホを充電するための便利アイテムです。しかし停電時には、家族との連絡手段を守るための防災用品にもなります。
普段は収納として使っている大きめのバッグも、避難時には必要なものをまとめて運ぶ袋になります。
このように「いつものもの」が「もしものとき」にも役立つようにしておくのが、フェーズフリーの考え方です。
特別な防災だけでは続きにくい
防災用品をそろえることは大切です。
しかし、特別な防災グッズだけを押し入れや物置にしまっておくと、いざというときに使いにくい場合があります。
たとえば、次のようなことは起こりがちです。
- 非常食の賞味期限が切れていた
- 懐中電灯の電池がなくなっていた
- 防災バッグの置き場所を家族が知らなかった
- 子どもが防災用品の使い方を知らなかった
- 必要なものが家族構成に合わなくなっていた
備えているつもりでも、使えなければ意味が薄れてしまいます。
フェーズフリーでは、「災害時だけ使うもの」ではなく、「普段から使い慣れているもの」を非常時にも活かすことを大切にします。
家庭でできるフェーズフリーの具体例
フェーズフリーは、難しいものではありません。
家の中にあるものを少し見直すだけでも始められます。
モバイルバッテリー
スマホ用のモバイルバッテリーは、日常でも災害時でも役立つ代表的なアイテムです。
普段は外出先で使い、災害時には停電中の連絡手段を守るために使えます。
大切なのは、買って終わりにしないことです。定期的に充電し、家族が置き場所を知っている状態にしておきましょう。
水筒・マイボトル
水筒やマイボトルは、普段の外出や通勤、通学で使えるものです。
災害時には、給水所で水をもらうときや、避難先で飲み物を確保するときにも役立ちます。
日常的に使っているものなら、子どもも扱いに慣れているため、非常時にも使いやすくなります。
レトルト食品・缶詰・乾麺
非常食を特別に用意するのも良いですが、普段から食べているレトルト食品や缶詰、乾麺も備えになります。
ポイントは、日常の食事で食べながら、食べた分を買い足すことです。
この方法なら、賞味期限切れを防ぎやすく、家族の口に合うものを備えられます。
ウェットティッシュ・ポリ袋
ウェットティッシュやポリ袋は、普段の掃除や外出時にも使えます。
災害時には、水が使いにくい状況で手を拭いたり、ゴミをまとめたり、簡易的な衛生管理に役立ちます。
特別なものを買い足す前に、普段使っている消耗品を少し多めに持つだけでも備えになります。
スニーカーや歩きやすい靴
災害時は、割れたガラスや散乱した物の上を歩く可能性があります。
普段から歩きやすい靴を玄関近くに置いておくことも、フェーズフリーな備えのひとつです。
特に夜間の地震では、裸足で歩くとけがをしやすくなります。家族それぞれがすぐ履ける靴の場所を確認しておくと安心です。
フェーズフリーと防災グッズの違い
フェーズフリーは、防災グッズを否定する考え方ではありません。
むしろ、防災グッズをもっと使いやすくするための考え方です。
防災グッズは、非常時に役立つように作られたものです。一方でフェーズフリーは、普段の生活でも使えて、非常時にも役立つものを選ぶ視点です。
たとえば、防災専用のライトを用意するだけでなく、普段からベッド横に置いている充電式ライトを停電時にも使えるようにしておく。
非常食だけを別にしまうのではなく、普段の食品ストックを少し多めに持つ。
このように、日常と非常時をつなげて考えることで、防災が続けやすくなります。
家族で始めるなら「置き場所の共有」から
家庭でフェーズフリーを始めるなら、まずは物を買うよりも、置き場所を家族で共有することから始めるのがおすすめです。
どんなに便利なものがあっても、家族が場所を知らなければ非常時に使えません。
たとえば、次のようなことを確認しておきましょう。
- モバイルバッテリーはどこにあるか
- 懐中電灯やライトはすぐ使えるか
- 常備薬はどこにあるか
- 水や食品のストックはどこにあるか
- 避難するときに持ち出すバッグはどこにあるか
- 家の中で靴を履ける場所はどこか
家族全員が完璧に覚える必要はありません。
「これはここにある」と一度話しておくだけでも、非常時の動きやすさは変わります。
子どもにもわかる形にする
フェーズフリーは、子どもがいる家庭にも向いています。
特別な防災訓練だけでなく、普段の生活の中で自然に備えを伝えられるからです。
たとえば、モバイルバッテリーを使ったあとに充電する、外出時に水筒を持つ、寝る前に靴の場所を確認する。
こうした小さな習慣も、非常時には役に立ちます。
子どもには難しい説明よりも、「いつも使っているものが、もしものときにも助けてくれる」と伝えるとわかりやすくなります。
フェーズフリーを取り入れるときの注意点
フェーズフリーは便利な考え方ですが、これだけで防災が完璧になるわけではありません。
災害の種類や住んでいる地域、家族構成によって必要な備えは変わります。
乳幼児、高齢者、持病のある家族、ペットがいる家庭では、それぞれに必要なものがあります。
また、ハザードマップの確認、避難場所、家族の連絡方法などは、物の備えとは別に確認しておく必要があります。
フェーズフリーは「何もしなくていい」という意味ではありません。
普段の生活の中に、無理なく備えを組み込むための考え方として取り入れるのが大切です。
まずは家にあるものを見直してみる
フェーズフリーを始めるために、最初から新しいものをたくさん買う必要はありません。
まずは家にあるものを見直してみましょう。
普段使っているものの中に、非常時にも役立つものは意外とあります。
- スマホ
- モバイルバッテリー
- 水筒
- レトルト食品
- 缶詰
- ポリ袋
- ウェットティッシュ
- タオル
- リュック
- スニーカー
- 充電式ライト
これらを「どこにあるか」「すぐ使えるか」「家族が使い方を知っているか」という視点で確認するだけでも、備えの第一歩になります。
まとめ:フェーズフリーは、無理なく続ける防災
フェーズフリーとは、普段の暮らしと災害時の暮らしを分けすぎず、日常で使っているものを非常時にも役立てる考え方です。
特別な防災用品をそろえることも大切ですが、それだけでは続きにくいことがあります。
普段から使っているものを少し多めに持つ。置き場所を家族で共有する。使い慣れたものを非常時にも使えるようにしておく。
こうした小さな工夫が、災害時の安心につながります。
防災は、完璧を目指すと負担になります。まずは今日の生活の中で、「これはもしものときにも役立つかな」と考えるところから始めてみましょう。
参考情報
- 一般社団法人フェーズフリー協会:フェーズフリーについて
- 内閣府:防災情報のページ
- 静岡県:フェーズフリーって何だろう?
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